はじめてのGIMIC

「GIMICって何ができるの?」「色々パーツがあるけど何が必要なの?」という部分を解説していきます。
GIMICの購入をご検討されている方は是非ご覧下さい。

GIMICとは

GIMICは1980〜1990年代に流行ったパソコンやアーケードゲームに使われた音源チップを搭載した多連装音源システムです。*1
音源チップは載せ替えることができ、現時点ではOPNA、OPN3L、OPM、OPL3の4つのモジュールが用意されています。

gimic001.jpg

何ができるの?

現状のGIMICではS98というFM音源チップの制御情報を記録したログファイルを用いてパソコンやアーケードゲームの音楽を再生することができます。*2

またモジュール個別の機能として、OPMモジュールではSHARP X68000用のFM音源ドライバMXDRV*3の曲データを、
OPNA/OPN3LモジュールではNEC PC-8801シリーズ、PC-9800シリーズのFM音源ドライバPMD*4とFMP*5'の曲データを直接再生することが可能です。

これらのS98/MDX/PMD/FMPデータをPC側でSDカードにコピーし、そのSDカードをGIMICのSDカードリーダーに挿入して曲を聴くというスタイルになります。

将来的にはPCからGIMICに搭載した音源チップの直接制御*6や、MIDIによる制御*7を実現したいと考えています。
→現在、PCからGIMICを制御するUSB制御デモを公開しています。詳しくはこちらをご覧下さい。

GIMIC購入前に準備して頂く物

SDカードリーダ及びSDカード

前述しましたが現在のGIMICはSDカードに入れた曲データを再生するスタイルが主となります。
GIMIC本体にSDカードリーダーを搭載していますが、USBで接続してもPC側からはSDカードリーダーとして認識できません。
よってSDカードリーダーと曲データを入れるSDカードを事前に用意して頂く必要があります。
容量は2GB〜4GB辺りを推奨します。またGIMICは最大8GBまでのSDHCカードに対応しています。

USBケーブル

GIMICの電源供給はUSBポートから行いますので、別途USBケーブル(ABタイプ)を用意して頂く必要があります(GIMICにUSBケーブルは添付していません)
参考にELECOMのUSBケーブルのページにリンクを張っておきます。端子の確認に使ってください。
パソコンの周辺機器(プリンタ等)によく添付されているタイプのUSBケーブルですので余らせている人も多いと思います。
パソコンから給電しない場合はUSB→電源コンセント変換アダプタを併用したり、セルフパワーのUSBハブを利用したりすることも可能です。

GIMICの構成パーツ

GIMICを動かすために最低限必要となるパーツはマザーボードモジュールになります。
これより各パーツの紹介を行っていきます。型番の部分をクリックすると詳細説明のページに飛びます。

GMC-MB1: マザーボード

GIMICの本体となるマザーボードです。32bit 72MHzのARMプロセッサを搭載し音源チップを制御します。
マザーボード上にはS98/MDX/PMDデータを格納するSDカードスロット、音声を出力するステレオミニジャックなどを備えています

GMC-OPN3L: OPN3-Lモジュール

OPN3-L(YMF288)はNECのPC-9821が晩年を迎える頃に採用されたFM音源チップで、
歴代のNECのパソコンPC-6601SR、PC-8001mkIISR、PC-8801mKIISR(及びそれ以降)、PC-9801シリーズ、PC-9821シリーズ、
FUJITSUのFM77AVシリーズ、SHARP MZ-2500などに搭載されていた音源チップOPN(YM2203)やOPNA(YM2608)と互換性を持っています。*8

GMC-OPNA: OPNAモジュール

上述したOPNA(YM2608)を採用したモジュールです。
PC-8801シリーズのサウンドボードII同様にADPCM用のDRAMを搭載しており、88サウンドの完全再現が可能となりました。
FM音源とSSG音源のボリュームバランスも調整可能で、PC-8801系、PC-9801系(86ボード相当)に切換が可能です。

GMC-OPM: OPMモジュール

OPM(YM2151)はSHARPのX1TurboZやX68000、80〜90年代のアーケードゲームに使われていたFM音源チップです。*9

GMC-OPL3: OPL3モジュール

OPL3(YMF262-M)はCreative Sound Blaster16 及びその互換品に搭載されたFM音源チップです。

マザーボードと上記のいずれかのモジュールを接続することでGIMICを利用することが可能になります。

GIMICのオプションパーツ

GIMICには本体を拡張させるいくつかのオプションパーツを用意しています。

GMC-OPT01: OPN3-L用DACモジュール

OPN3-Lモジュール専用のDACです。モジュールに標準搭載されているDAC自体も本来の性能を引き出すチューニングを施していますが、
さらに高性能なBurr-Brown(TI)製ΔΣ方式オーディオDACを搭載したオプションDACを用意しています。

視聴比較サンプルはこちらです。

GMC-OPT02: OPN3-L用デジタル出力モジュール

OPN3-Lモジュール専用のデジタル出力基板です。DACに左右されない完全な品質を追求することが可能です。

GMC-LCD: 液晶ディスプレイ

演奏している曲の情報を表示したり、MDX/PMD/FMPデータでは鍵盤表示を行うことができます。
鍵盤表示については関連動画をご覧下さい。

GMC-BOUT: ブレイクアウトケーブル

ラインアウト(RCA×2)及びMIDI入出力端子を備えたブレイクアウトケーブルです。
現状のGIMICはMIDI入出力に対応していない為、ラインアウトのみを備えたケーブルをイベント会場限定で頒布しています。

GMC-BPNL: バックパネル

GIMICの底面は基板が剥き出しの為、濡れた手で触ったり金属の上に置いたりするとショートの原因になってしまいます。
それを防ぐ為に底面に天板と同様のアクリルパネルを用意しています。

テンキー

GIMICの頒布物ではありませんが、背面のUSB A端子にテンキーを接続することでGIMIC本体のスイッチの代わりに曲送りなどが可能になります。

今後の予定

G.I.M.I.C. Projectでは今後、以下のハードウェアの開発、ソフトウェア(ファームウェア)の開発を行う予定です。

PCMモジュール

ALTERA社FPGAを使ったPCM拡張音源モジュールです。
強力なエミュレーション機能を搭載し、様々なPCMフォーマット(X68000のADPCM、PC-9821の86ボードのPCMなど)の再生を実現します。

OPLLモジュール

YAMAHA製FM音源LSI「YM2413B」を搭載するモジュールです。
OPLLはエミュレータでも完全再現できている物は皆無ですが、実チップを搭載し完全再現を行います。

PSGモジュール

YAMAHA製SSG音源LSI「YM2149F」を搭載するモジュールです。レジスタに独自の拡張を加え、高い再生互換性を実現します。

フルスペック版マザーボード

モジュールの多連装制御に対応したフルスペック版です。最大4モジュールまでの同時制御に対応します。

スタンドアロン再生

音源ドライバを内蔵し、PCに頼らず再生を行います。
→現在、MXDRV、PMD、FMP互換ドライバを搭載しています。

PC制御対応

USBを使ったPCからの制御に対応します。各種ソフトウェアからの実機再生が可能になります。
→現在、PCからGIMICを制御するUSB制御デモを公開しています。詳しくはこちらをご覧下さい。

MIDI制御対応

MIDIからの制御に対応しハード音源として利用可能になります。

同期再生

複数のGIMICを接続し同期再生を可能とします。

DJ向け機能

ライブで便利なCUE機能等、実機演奏用機材として利用可能です。


*1 多連装と書きましたが現状は1つのモジュールしか利用できません。将来的には複数モジュールを搭載可能なマザーボードも提供予定です。
*2 S98についてはこちらの記事で、S98の作成方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています
*3 MXDRV (C)milk, K.MAEKAWA, Yatsube, Missy.M
*4 PMD (C)KAJA
*5 FMP (C)ぐぅ
*6 例えばPC-88/PC-98/X1/X68000エミュレータなどからGIMICを制御してサウンドを出力するなど…。
*7 例えばYAMAHA FB-01やTX81ZのようにMIDI音源として利用できるようにするなど…
*8 完全互換ではありません。分かりやすい例で言うとOPNAにはADPCM機能がありますがOPN3-Lでは省略されています。またFM音源とSSG音源の音量比も固定になっています。
*9 YAMAHAのシンセサイザーFB-01、DX21、DX27、DX100、KORGのシンセサイザーDS-8、707などにも互換性のあるFM音源チップOPP(YM2164)が搭載されていました。

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